ひとつの建物ができるまでには、基礎を作り、建物の骨組みとなる柱や壁を作り…と様々な工程があります。たくさんある工程は、そのすべてに重要な役割があり、1つでも欠けるときちんと使える建物にはなりません。日々暮らしている家、学校、街に並ぶビルなど、どの建物も、それぞれの工程を担当する職人たちが協力して建てたものです。
職人への第一歩を踏み出すためには「建物が建つまでの流れ」や「どの職種が何の役割をもつのか」を知ることが大切です。長きにわたって活躍できる職人になれるよう、ここで自分にぴったり合う職種を見つけてみましょう!
建つまでのプロセスを知ろう!
街を見渡すと、木造や鉄筋コンクリート、鉄骨などでできた様々な建物があります。
建物によって必要な工程や働く職人は変わりますが、ここでは鉄筋コンクリート(RC造)のビルを例に建物が建つ流れを説明します。建つまでの大まかな流れは、次の6工程です。
工程 | 各工程の役割 |
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基礎工事 | 建物の重みや地盤変動に負けない基礎をつくり、沈み・転倒・移動などを防ぐ |
躯体工事 | 壁・柱・床などの骨組みを組み、強くて安全な建物の主構造を形成する |
外装工事 | 屋根・外壁・防水などを施工し、建物の外側を強化&美しくする |
内装工事 | 塗装・タイル・壁紙などを施工し、建物の内側を快適に仕上げる |
設備工事 | 電気・ガス・水道などを設備し、人が生活できる環境を整える |
外構工事 | 排水・舗装・造園工事などで、建物までの道路や周辺を整える |
最初に基礎を作ります。建物が傾いたり、地面に沈んでしまうのを防ぐ重要な部分です。
そして、基礎の上に鉄筋とコンクリートで建物の骨格になる柱や壁を作ります。この骨格が躯体です。
その後に外装工事で防水等の処理を行い、塗装やタイル張りなどの化粧をします。見た目だけでなく、雨風から建物を保護します。
並行して建物内部で部屋を仕切る間仕切り壁や扉を作って、部屋の中を綺麗に仕上げる内装工事が行われます。
電気や水道などの設備工事では、これらの基礎から内装工事の間、一緒に工事を行って電線や水道管を通していき、最後に照明やコンセント、洗面台など、普段使っている設備機器を取り付けます。
最後に外構工事で建物の周囲を綺麗に整備し、通路などを作ります。建物の第一印象を決めるだけでなく、防犯性や安全性にも関わる重要な工程です。
建設工事はこのようにひとつひとつの工程が、とても重要な役割を担っています。
13種類の職人と作業内容を知ろう!
建物が建つまでの多くの工程はそれぞれ専門的な技術が必要なものばかりです。そのため、それぞれの工程を担当する職人がいます。
ここで代表的な13の職人を紹介します。
基礎工事・躯体工事
土工 | 整地をしたり、基礎を作るための穴を掘る作業を行います。 |
型枠大工 | コンクリートを流し込むための型枠を作って組み立てます。 |
鉄筋工 | コンクリートを補強する鉄筋を組み立てます。 |
とび職 | 高所での作業が専門です。 建物の骨組みとなる鉄骨や他の職人が利用する足場などを組み立てます。 |
外装工事
防水工 | 建物に雨水が入らないように防水処理をする仕事です。 |
左官工 | コンクリートの表面をきれいに仕上げる仕事です。 |
内装工事
内装大工 | 部屋を仕切る壁や扉、天井や床など、建物内部を作る仕事です。 |
塗装工 | 見た目を良くしたり、建物を保護するための塗料を塗る仕事です。 |
クロス工 | 壁紙を貼って壁や天井をきれいに仕上げます。 |
設備工事
電気工 | 建物内に電線を通して、照明やコンセントなどの機器を付けます。 |
給排水工 | 水道や排水の管を通して、蛇口や洗面台、トイレなどの設備を付けます。 |
外構工事
外構・エクステリア工 | 敷地の周囲に塀を作ったり、通路を舗装するなど、建物周囲の工事を行います。 |
造園工 | 外構の中でも特に樹木などを専門に扱います。 |
基礎工事では、土工が掘削した穴の中に、型枠大工が半分ほど型枠を組み、その中に鉄筋工が鉄筋を組んでいき、その後、また型枠大工が型枠を最後までくみ上げて、その型枠の中にコンクリートを流し込んでいきます。
さらに、その基礎の上にまた型枠を作り、鉄筋を組み立てて、躯体ができていくのです。
そうして、作られる基礎や躯体の中にも電気や水道を通しておく必要があるので、電気工や給排水工の職人は型枠や鉄筋が組み立てられるのに合わせてパイプをセットしていきます。
それぞれの職人は専門技術を使いながら、他の職人とも連携することで、自分の任された仕事を達成することができるのです。
ここで紹介しているのは、あくまで代表例です。実際にはここで紹介しきれない職人や、より細かく分かれた専門性の高い職人もいます。気になる職種が見つかったら、より詳しくその職種について調べてみるのがおすすめです。